シンガポールのクレイポットライス

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イスタンブールまでバンコク経由シンガポール経由ドバイ経由イスタンブール行きという格安航空券を利用した。

シンガポールでは数時間の待ち時間があったので、
メトロでチャイナタウンまで行き、ホーカーズ(屋台村)で食事をすることにした。

が、、、シンガポールはさすがに暑い。頭がぼける。のどが渇く。

チャイナタウン・コンプレックスという市場の上にあるホーカーズにたどりついたが、
ここには100以上の屋台が並んでいる凄い屋台街だ。
実際のところ、私はお目当ての店を探し当てても、帰り道がまたわからなくなる、
ということをいままでに3回繰り返しているぐらいだ。

さすがに四回目以降は、周りの道をよく調べて記憶し、
わかるルートだけをつかって帰るという方針に変更したが。

まず、ジュース屋でサトウキビをガガガッと絞ってもらい、
サトウキビジュースを作ってもらった。日本円に換算して約110円。
レモンジュースを混ぜてあるので、特に青臭い感じはしなかった。

さて、クレイポットライス。 これは土鍋で鶏などの具をご飯といっしょにたいたもので、私の好む料理だ。

シンガポールではLian He Claypot Rice というクレイポットライスの専門店が各方面で高く評価されている。
シンガポール地元のB級グルメガイド「マカンストラ」でも
この店のクレイポットライスには最高点をつけている。
いやマカンストラなど持ち出さなくても、「地球の歩き方」にものっている店なのだけれども。

ちなみに、イスタンブールからの帰路はシンガポールに1泊し、
「地球の歩き方」で推奨していたホーカーズ数軒で食事をしてみたところ、
どの店も大変素晴らしい味であった。

で、今回のLian He Claypot Riceであるが、この屋台の近くまで来ると、
ホーカーズ共用の汚いテーブルの上に土鍋を並べている人が増えるので良い目印に、、、
人気がありすぎて、店の周囲の広大な範囲でこの店のクレイポットライスが食べられているため、
どうにも目印になりきれないほど。


 

やっと、店を探し当てる。忙しそうだ。もう、いくつもいくつも、わき上がる炎の上に土鍋を並べている。
店のお姉さんに、クレイポットライスが食べたいんだけど、
とおずおずと切り出すと、4ドルのか4ドルのか、と燃え上がる炎ぐらいの勢いで聞いてくる。

もちろんシンガポールドルでの話だ。
クレイポットライスの一番安いやつでいいねっ! と念を押しているのだ。

約300円。せっかく来たのだから、まん中ぐらいの値段のを食べようと思っていたのだけど、
勢いに負けていちばん安いのにする。
安いのにして良かった。値段の差は単純に分量の差でつけてあるのである。

いちばん小さい4ドルのでも、相当な分量で、
これでまん中のサイズなど頼んでいたら、とても食べきれないところだった。
 
 

この勢いのあるお姉さんは、私のことを不慣れな日本人とみてとったのか、
できあがったクレイポットライスの肉を小皿に取り分けると、
小皿の肉と土鍋のご飯の両方にソースと油を手早くかけ、しゃくしでまぜるまぜる、
その高速の手の動き、これを見るためだけでも金を払う価値がある。
たぶん、普通は客が自分で混ぜて食べるのだと思う。親切でやってくれたのだろう。

味の方もたいへん良かった。
あんな高温のコークスでガンガンたいたら肉が硬くなりそうな気もするのに、
そういうものではないようで、この肉は柔らかい。そしてうまい。

鶏肉の他に、食べるたびにいつもオレンジの味を連想してしまう中華ソーセージや、
シーチキンのうまみを凝縮したようなハムイ(これは魚を塩漬けにし、干して発酵させたものだ)も入っている。
 

数時間の時間しかないのに無理をしてここまでやってきて良かった。

時間もないし、店の人も忙しく動き回っているのに邪魔になっては行けないので、
「写真館」のタイトルに恥じる写真しか撮れていないのだけれども、
やはりここまで足をのばした甲斐があった。